それを考えてみたいと思います。
まず前提となるのが、「どういうチームにするか」というコンセプトです。この前提には、クラブの現状に合わせたチーム作りができるかという要素も含まれています。「お金はいくらかけてもいいから勝つチームを」とか「現有戦力で下部リーグへの降格だけは免れたい」とか。
ただ、監督を選ぶクラブ側は、監督の特徴を考慮して選んでいる…(というか、選ばないととんでもない大惨事になる可能性もある)と思うので、本当にかけ離れたような人選はないかと思い…たい(笑)
次に求められるのは、「選手個々のプレーの特徴を的確につかんでいるか」「選手の特徴に合わせた配置ができるか」「選手のタイプがチームと合わない時に、どう対処するか」。これは重要です。
チーム作りのビジョンは、選手の特徴を生かしてこそ実現できます。うまく当てはまらなくても、選手の特徴を生かすためにどうすればいいか、解決方法を示せれば問題ありません。指示に従えなければ試合に出さないだけの話です。それがプロなので。
自分の考えたフォーメーションにプレーヤーを当てはめた時、必ずしも思い通りには行かないわけで(そうでなければ、こんなに移籍マーケットが賑わうはずもありません)、チームと選手をどうマッチングさせるかは、監督に最も求められるセンスと言えるでしょう。
「試合中のズレを修正できるか(プレー中・ハーフタイム)」というのもポイントになります。
ゲーム中は、相手の戦い方、プレーヤーの配置などによって必ずズレが生じます。この時に、「戦い方を変えて対処させるか」「配置はそのままで、プレーヤーに指示を与えることでズレを修正させるか」「選手交代によって修正するか」を指示できると、より勝利を引き寄せられると思います。
個人的にはゲーム中の指示は必要だと思いますが、タッチラインに出て指示を出すタイプでないとしても前半失点しなければハーフタイムで指示すればいいわけです。それに、大観衆の中で指示したところで伝わるとは限らない。だから、必要条件というよりも、あればなお結構って感じですね。
そして、最後に。上記に書いたようなことを「プレーヤーたちが聞くか」。これは絶対条件でしょうね。そこには監督として、というか人間的なオーラが必要だったり、理論だったり、親しみやすかったり…これは一期一会的な部分があります。どこでも成功できる監督は、非常に少ないですし(カペッロ監督くらいのものでしょうか。モウリーニョ監督も可能性は高い)。
この他に、「相手チームを分析し、ゲームで反映できるか」というポイントもあります。
ただ、これは監督によって違いますから、何とも言えません。もちろん、分析をもとに相手の長所を消し、短所をつくサッカーは効率が良く、チームもまとめやすいと思います。そこに攻撃時の個性を発揮できるアイデアを話しておけば、なお良しです。中学生とはいえ、このやり方で全国優勝もしましたし。
ただ、プレミアリーグのチームはたいていそんなことは考えず、攻守の基本通りに、しかもハードにプレーします。それは善し悪しではありません。スタイルの違いだと思います。
仮にスカウティングの結果をゲームプランに投影させるとすれば、注意しなければならないことがあります。それは、選手に情報を与え過ぎないことです。下手をすると、混乱を招きかねません。
事前のスカウティングで、相手の特徴だけでなく、チームの戦い方にズレを生じさせるだろうポイントをつかむ。その情報を、どう対処すべきか選手に端的に指示を出す。これが重要だと思います。
あとは、選手が言われたことを理解し、ゲームで表現できているかを見極める。ダメなら修正…その繰り返しということになります。
いずれにしても、あげていったポイントは数字では出てきません。そこで「センス」が問われるわけで、それが監督の善し悪しだといっても過言ではないでしょう。
しかし、これは、プロチームの監督を見る時のポイントです。ユースまでの育成を要求されるカテゴリー(場合によっては20歳くらいまで)では、「監督」という言葉は「指導者」と表現した方がいいでしょう。選手育成という要素が入ってくるからです。
「監督」と「指導者」は意味が違います。 その辺りについては、また別の機会に。 |
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