チケットを買って見に行きたいサッカーの試合。人によっては代表戦しか見ないし、高校選手権が大好きな人でも、Jリーグには全く興味がない等、楽しみ方も人それぞれだと思います。
ちなみに、私はサッカーを見飽きたクチ。サッカーを本格的に見始めて10数年、チームスタッフとして現場に関わるようになって10年弱になる私にとって、サッカーを見ることはすでに楽しみを越えたものになってしまいました。
しかし、最近自分が関わっているチーム以外でもよく見に行くようになりました。それは大学サッカー。理由は簡単で、スタッフとして関わった後輩たちが大学でプレーしているからです(フットサルと同じパターン
笑)。
大学サッカー界のことは、サッカーが余程好きでないと知らないでしょう。実際、リーグ戦のスタンドが満員になることはあり得ません。
U-20代表の平山が筑波大学へ進学したことで、大学リーグもスポーツ紙で取り上げられることが若干増えましたが、その存在はマイナー。しかし、メンツだけ見れば今後Jリーグで活躍しそうな選手も多数在籍しており、見逃す手はありません。
そんな中、関東大学リーグ2部の早稲田大学ア式蹴球部は、非常に気になる存在です。
2005年の主将は徳永悠平。Jリーグ強化指定選手としてFC東京で活躍したり、アテネ五輪の日本U-23代表選手として記憶している人も多いはずです。
徳永主将だけではなりません。トップチームにはその名の知れた選手たちが犇めいています。
FIFAワールドユース2005オランダ大会の主将・兵藤慎剛はよくスポーツニュースでも見かけるので、「早稲田=兵藤」と浮かぶ人は多いと思いますが、彼が抜けても錚々たるメンバーです。
ちなみに、今シーズンのリーグ戦などの公式戦に先発出場した選手たちはこんな感じです。見覚えのある名前が並んでいるはずです。
GK
時久省吾(大津高)
DF
岡佑亮(草津東高)
山口貴弘(帝京高)
金守貴紀(四日市中央工業高)
塗師亮(ヴェルディユース)
MF
徳永悠平(国見高)
金田隼輔(星稜高)
玉田英史(暁星高校)
山本脩斗(盛岡商業高)
鈴木修人(市立船橋高)
兵藤慎剛(国見高)
FW
矢島卓郎(膳所高校)
高橋周大(國學院久我山高校)
松橋優(国見高)
渡邉千真(国見高)
現在早稲田を率いているのは大榎監督。元日本代表の大榎監督は、早稲田大サッカー部OB。現在プレーしている選手全員が、大榎監督が清水エスパルスの選手として活躍した姿を見ているだけに、信頼も厚そうです。現役を退いてそれほど経っていないため、選手にとっては年齢的に近いのも親しみやすい気がします。
今シーズン、数試合観戦していますが、慶應大学に敗れた試合も含めて、魅力的なサッカーを展開ししていました。敗れた試合は、相手に下がられてカウンターアタックでやられた時のみ。力負けした試合は見ていません。
Jリーグが獲得を狙っている選手たちが、3−5−2を攻撃的に機能させ、常にゴールを奪いに行く姿勢は一見の価値ありです。下手なJリーグの試合より面白いはずです(笑)
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高校卒業とともにJリーグへと望む声が多かった選手が大学進学を選択することが増えました。この傾向は、Jリーグが開幕して10数年経って出た現時点での結論だと思います。
高卒Jリーガーが、2、3年で容赦なく契約を切られる世界。Jリーグキャリアサポートセンターを設立するなど対策も立ててはいますが、全ての受け皿になるわけがありません。それは簡単に契約を切るクラブに問題があるだけでなく、高卒でプロ入りを決断した本人や周囲の判断も甘かったと言えます。
「大学に進学すると、選手としての成長が止まってしまう」と語るサッカー関係者や評論家もいるようですが、そう言っている人に限って大卒だったりします。信用しないでください(笑)
サッカー以外の人生を選びたくなった時、悲しいかな、学歴は世界中どこでも必要になってくるものです。これを否定する人は、少ない事例から説得材料を引っ張ってくるでしょうが、そんなことは例外でしかありません。本人だって、余程好奇心を持っていなければ、限られた世界観、思考回路の中で社会への第一歩を踏み出さなければなりません。
これは、「一個人」の人生を考えた時、幸せなことでしょうか?
こういう現状にうまく折り合いをつけるためにも、大学サッカーは今後の日本サッカーにとって重要な存在…にしていかなければなりません。
サッカー選手として成長させ、プロフットボーラーという「就職先」を選択肢に加えられる環境作りは、これからの大学サッカー界に求められるでしょう。(ま、学生たちの意識がどうかという点については、いささか疑問も残りますが…笑)
しかし、一方では、プロフットボーラーになるチャンスがあったとしても、最終的にその道を選ばない学生は増えるに違いありません。これはサッカー界にとって損失でもあります。
ただ、「一個人」の人生を考えた時、サッカー以外の進むべき道を見つけられたことは喜ぶべきことです。そして、こういう人たちが社会へ散らばることで、サッカーは確実に日本社会で根を張っていくはずです。
だからこそ、早稲田大学OBである大榎氏が母校に監督として戻って来たことは、非常に意味のある、歓迎すべき出来事だったと思います。
小さい頃から憧れていたJリーガーたちが直接チームを指揮する。学生にとって大いに刺激になるはずだし、プロフットボーラーという「就職先」に憧れを抱く学生たちは確実に増えるはずです。
関東大学リーグ2部でありながら、7月の総理大臣杯では決勝まで進んだ早稲田大学ア式蹴球部。理屈抜きで楽しめるので、徳永主将が卒業する前に、一度その目で確かめてください。
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