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2005/7/29 |
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調整試合で、ボルトン好調の原因を探してみる
〜川崎フロンターレ×ボルトン・ワンダラーズ 〜 |
7月下旬、ヨーロッパのクラブチームがこれでもかと言わんばかりに来日しました。7月25日のレアル・マドリードを皮切りに、マンチェスター・ユナイテッド、バイエルン・ミュンヘン、FCバルセロナ(ナント急きょ来日決定!)…あ、フィオレンティーナと大連実徳も来てました。
その中で、地味に来日していたのがボルトン・ワンダラーズ。26日にヴィッセル神戸と(三浦知良選手の神戸ラストゲーム)、28日に川崎フロンターレと親善試合を行いました。
昨シーズン、プレミアリーグで6位となったボルトン。ただ、日本のサッカーファンには馴染みのないクラブです。数シーズン前、セレッソ大阪の西澤選手が所属していたクラブでもありますが、リーグ戦には出場しておらず、地上波で放送されたこともないので、知らない人は多いと思います。
28日は首都圏で3試合の親善試合が行われていましたが、なぜか川崎フロンターレとボルトンの試合をチョイス(諸事情ありまして)。同日は国立競技場では鹿島アントラーズがユナイテッドと、味の素スタジアムでFC東京がバイエルンと試合があるというのに(笑)
しかし、ボルトンのサッカーを見てみたい気持ちは、他2チームよりもありました。ビッグクラブはテレビで見ることが多いですが、ボルトンを日本で見られるとは思いませんでした。日本人選手が絡んでいないヨーロッパの中堅クラブが来日すること自体、最近は珍しいので。
興味が湧いた理由は他にもあります。今回ほぼ昨シーズンのレギュラーが来日すること、プレミアリーグ開幕を約2週間後に控えアジア遠征(タイから日本へ)の締めが日本であること。
ま、こんな理由を付けて、観戦してまいりました。
さて、昨シーズンのボルトンについてですが、クラブ史上最高成績を収め、UEFAカップへの出場も果たしました。基本的なフォーメーションは4-3-3で、DFラインからFWへのロングフィードを使うのが「定番」。そのルーズボールをMFが拾ってゴール前で分厚い攻撃を仕掛けるというのが「いつものパターン」です。
古き良き時代のキックアンドラッシュとは異なりますが、これぞイングランドサッカーという感じ。今ではあまりお目にかかれなくなっただけに、コワイもの見たさもありました(笑)
後は、サイドからの攻撃。イングランドのサッカーはサイド攻撃も見せ場の一つで、昨シーズンはギリシャ代表のステリオス(・ジャンナコプロス)がブレイクしました。
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さて、19時15分にキックオフされたこの試合、予想とは反してボルトンがパスを丁寧に回す意外な展開で始まりました。
ここで気が付いたのは、トラップのうまさ。オコチャやイバン・カンポをはじめ、回ってきたパスをいとも簡単に足下にトラップします。これ普通だと思うでしょ?でも、川崎の選手たちを見ていたら、そのボールタッチの違いに気付いたはずです。
…と、そんなことに感心していると、先制点はなんと川崎がゲット!(笑) 前半11分に黒津が決めて、試合が面白くなりました。川崎はこれを契機に、元日本代表の左サイド相馬が左サイドから崩しにかかり、トップ下に入ったマルクスが積極的にボールに絡み、ボルトンの中盤を混乱させていきます。
「さあ、そろそろボルトンも本気になるかな」。期待して見ていたものの、相変わらずパスをつないでなんとかしようと試みるボルトンの選手たち。こんな感じで見せ場もほとんどなく、前半は終了しました。
後半に入ると、さすがにマズイと思ったか、ケビン・ノーランやケビン・デービスの頭めがけてロングフィードを当てる「らしさ」を見せ始めました。
ところが、なかなかゴールは奪えません。同点に追い付いたのは、後半41分。ノーランのグラウンダーのクロスを後半途中から入ったシンクレアが決めて、なんとか1-1で終了。見せ場の少ない、寒〜い試合となりました(笑)
正直なところ、ボルトンの面々が本気で勝ちに来ていたとは思えません。昨シーズン、チェルシー、アーセナル、マンチェスター・ユナイテッドと引き分けた時に見せたゴール前の迫力は、ほとんど見られませんでした。
同点ゴールを決め、「ノルマは果たした」という感じでボールを回してタイムアップを待つところなんて、サービス精神のカケラもありゃしない(笑)
そう、彼らの来日は、プレミアリーグ開幕を控えた「調整」でしかなかったのです。その証拠に、出場している選手は全て心拍計を付けてプレーしていました。アクセサリーを着けることが禁止されているので、おそらくですが、公式戦では認められていないのでは?(これは未確認なので、分かったらまた後日取り上げます)
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試合は心も体も寒くなる内容でしたが、今シーズンのボルトンは、ケガ人さえ出なければ、中位以上の成績は収める気がします。左サイドのカンデラは去りましたが、オフに獲得したファイエやファディガなど、中盤の選手層が厚くなりました。
ここにコンフェデレーションズカップで活躍したメキシコ代表のボルヘッティが加われば、そこそこの戦力で戦えそうです。
特にファイエが加入したのは大きい気がします。DFラインと中盤のスペースを的確に埋める様子は、確実にボルトンの守備力をアップさせてくれると確信できましたし、ルーズボールをマイボールにし、中盤のボールキープ力が上がると思います。スカパーでプレミアリーグが見られる人がいれば、この選手は要注目です(セレクトが地味ですいません)。
残念だったのは、主力のディウフ、ノーラン、デービスにキレがなかったこと。明らかに調整不足です。まあ、帰国した後に約1週間で4ゲームをこなすらしいので、今回は流し加減だったということでしょう。
でも、ノーランのヘディングは際立っていました。足下の技術は「…」ですが、DFラインからのフィードを確実に頭に当てる技術は名人芸!それは、デービスについても同じです。あのヘディングの強さ、巧さがあったからこそ、昨シーズンはゴール前で多くのチャンスを作れたし、6位というクラブ史上初の成績を収められたと思います。
非常にシンプルですが、選手の特徴を最大限に生かすことがチームにとって重要なことを、妙に納得させられた試合でした。 |
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