2005/8/16
オープニングマッチは明暗くっきり
〜エバートン×マンチェスター・ユナイテッド〜

 2005年8月13日、プレミアリーグ05-06シーズンが開幕しました。オープニングマッチは、<エバートン×マンチェスター・ユナイテッド>。現地時間12時45分にキックオフされました。

 昨シーズン4位で初めてUEFAチャンピオンズリーグの出場権を獲得したエバートン(とはいえ、予備予選3回戦を勝ち抜けないと本戦出場はなし)。リバプールがヨーロッパチャンピオンとなっただけに、是が非でもヨーロッパの舞台で戦いたいところ。
 一方のマンチェスター・ユナイテッドは3位だったとはいえ、優勝したチェルシーから18ポイント、2位のアーセナルからも6ポイント離されるという屈辱的なシーズンでした。再びプレミアの、そしてヨーロッパの頂点に立つために、スタートダッシュを決めたいはず。
 実はこの両チーム、プレミア開幕前にシーズンインしてました。8月9日、05-06UEFAチャンピオンズリーグの予備予選(3回戦)を戦っていたのです。そういう意味でも、コンディションは整っているはず。いろいろ見どころの多い試合になるだろうなぁ。かなり期待していました。

 ところが…結果は2-0でユナイテッドの勝利。しかも、点差以上に差を感じてしまう試合になってしまいました。

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 ユナイテッドは、アジアツアーと変わらぬフォーメーション。
 GKファン・デル・サール、DFガリー・ネビル、リオ・ファーディナンド、シルヴェストレ、オシェイ。ロイ・キーンが中盤の底、その前にスコールズとフレッチャー、3トップはファン・ニステルローイ、ルーニー、朴智星。ほぼ予想通り。
 特に注目したのは、ロイ・キーン。アジアツアーでアラン・スミスを再三テストしていたポジションは、やはりこの人のために確保されていました。バランスは取りつつも、前線の起点をしっかりと潰していたキーンの存在感は、ユナイテッドにはまだ必要だとつくづく思いました。
 他の選手もコンディションは良さそうで、いい状態でシーズンに入ってきたと思います。

 一方のエバートンですが、ちょっと気になります。
 後半開始直後、ペナルティエリア付近でのエバートンのセンターバック、ヨボの不用意なパスをルーニーが難なく決められ0-2になったことで、緊張の糸が完全に切れてしまったとは思います。
 しかし、チームとしてどうやってゴールを奪うかという攻撃の方向性・意図が感じられませんでした。
 選手起用についても疑問があります。昨シーズン途中で獲得したビーティー(前サウザンプトン)はキレがなく、試合開始から10分も経たないうちにケガで交代。代わりに入ったベントの方が動きが良かったりして、どうも噛み合ってない印象は拭えません。

 8月9日、チャンピオンズリーグ予備予選でビジャレアル(スペイン)と対戦したエバートンは、ホームのグディソンパークで1-2の敗戦。本戦出場が厳しくなりました。どうも、悪い流れを引きずったまま開幕を迎えてしまった…そんな気がします。

 「来シーズンはきっと!」と期待されていたにもかかわらず、序盤戦で勝ち点が伸びず、結局監督が解任になる(またはなりそうになる)例年のニューカッスルのようなパターンはないと思いますが(笑)、戦力を見ても厳しいシーズンになることは間違いないでしょう。
 ただ、焦ってチーム作りをしても調子を崩すだけなので、気負わずにチーム作りをしてほしいなと。リバプールと張り合おうなんて思わず。

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 エバートンで驚いたことが1つ。ユナイテッドのフィリップ・ネビルがエバートンへ移籍しました!
 ユナイテッドがジャパンツアーを終えた直後だったので、このニュースを見た時には正直驚きました。埼玉スタジアムで見てましたから。
 しかも、フィリップ・ネビルはユースチーム生え抜きの選手。イングランド代表にも選ばれる実力を持つユーティリティ・プレーヤーを500万ポンド(約6億7500万円)で手放すというのは、「安くないか?」と思いました。探せば、もっといいオファーがあったのではないかと。

 しかし、アジアツアーを通じてアラン・スミスを中盤でテストしていたことからも、レギュラーポジションがないと踏んだのでしょう。いつものようにユーティリティプレーヤーとしてベンチを温めるのは嫌だと。
 それとも、他の理由?(あえて「理由」については言いません。最近のクラブに関するニュースを見れば、察しがつくことです 笑)

 いずれにせよ、エバートンにとっても、フィリップ・ネビル本人にとっても、いい選択だったと思います。
 DFから中盤までこなせるユーティリティプレーヤー、しかも経験豊富と来れば、エバートンのような選手層の薄いチームには必要不可欠な存在になるでしょう。
 そして、来年のワールドカップに向けて、エリクソン・イングランド代表監督にアピールするチャンスが増えるはずです。

 シーズンを通してチームを引っ張る存在になれば、確実にドイツ行きの飛行機に乗ることでしょう。心配はケガだけ。器用さを武器に、新天地でその存在感を証明してほしいですね。