2006/5/22
もしかして稲本?
〜日本の初戦、対オーストラリア戦について考える〜

 前回「小野の先発出場はない」と予想したのですが、今回は第1戦のオーストラリア代表について考えながら、日本代表の先発メンバーを予想したいと思います。

 参考にしたのは、昨年11月に行われたワールドカップ予選の大陸間プレーオフ<ウルグアイ×オーストラリア>の2戦です。
 この試合を前に、PSV監督でありながら代表監督に就任した策士フース・ヒディング氏は約4ヶ月後のウルグアイ戦で見事な采配を奮い、アウェイのモンテビデオで0-1、ホームのシドニーで1-0、(おそらく予想外の)PK方式による勝利でワールドカップのチケットをつかみました。
 色々説明しても現在の状態とは違いますが、代表に選ばれた選手たちの特徴を考慮しながら、オーストラリア代表について考えていきたいと思います。

*********************************

(1) 1トップが基本
 これはよく報道されているので見る機会が多いと思いますが、188cm、93kgのヴィドゥカが中央でドーンと構えているのが基本です。
 勝負どころに来たら、おそらくアロイージを入れて2トップに。アロイージは現在アラヴェス(スペイン)に所属し、イングランドでも活躍してきたFW。侮るどころか、後半運動量が落ちてきた時間帯に投入されるとDFの対応が難しいのです。

(2) 3バックと4バックが併用できるが、速攻には弱い
 プレーオフ第1戦では3バックでしたが、ウルグアイが前線からディフェンスしないと見ると、第2戦前半途中から4バック(=2センターバック)に変更。狙いは見事に当たり、タイスコアへ持ち込みました。もちろん、この策を考えたのはヒディング監督。さすがというしか言いようがありません。
 オーストラリアのDFの特徴はフィジカルの強さです。おそらく日本のFW陣で常に優位に立てる選手はいないでしょう。特に、足下へのボール、くさびがカットされるケースは多いと思います。あとはヘディングでの空中戦。後方からの単純な放り込みではまず勝てないに違いありません。
 ただ、弱点も分かりました。それは速攻。ドリブルが得意でスピードのあるタイプの選手をかなり苦手にしています。ウルグアイ戦でも何度か速攻を仕掛けられ、ゴール前でファールを犯してFKを与えることがありました。セットプレー、特にゴール前なら、キッカーの多い日本代表にとってはありがたい限り、というわけです。

(3) トップ下がかなり厄介
 約190cmの長身、しかも体格はラグビー選手というヴィドゥカがやたらと注目されていますが、オーストラリアのカギを握るのは、むしろその後ろに控えるMFです。
 ボランチ(おそらく2人)はそれほどでもありません(というか、日本代表の中盤の方が力は上です)。ただ、問題はその前です。当日どういう布陣で来るかは分かりませんが、ケイヒル、ブレシアーノの名前があったら厄介になることは間違いありません。

 なぜこの2人が厄介か。それは、中盤から前線へどんどん顔を出してくるからです。しかも、試合を通して。ボールを持てば、構わずドリブルで突っかけてきます。彼らに迷いはありません。
 クラブでレギュラーポジションを獲得していますが、ケイヒルはエバートン(プレミアリーグ)で39試合出場8ゴール、ブレシアーノはパルマ(イタリア)で31試合出場8ゴールと、高い得点力もその特徴です。ミドルシュートが得意なだけでなく、FWにマークが集中している隙にゴール前へ入ってきて、いつの間にかこぼれ球を押し込む、なんてことも十分あり得ます。
 もしこの2人が中盤から飛び出してきた時、彼らを抑えるには同等のスピードで追いかけるか、ファールで止めるしかありません。限りなくファールを誘えるプレーを、しかもしつこく仕掛けくるので、おそらく手を焼くはずです。

 あえてキューウェルは外しました。プレミアリーグで活躍してきたキューウェルですが、ここ数シーズンは、それほど目立った活躍ができていません。久々にコンスタントにプレーできた今シーズンにしても、リバプールで完全なレギュラーかと言われれば…
 しかも、先日のFAカップ決勝で足を痛めてしまいました。おそらく復帰してきますが、ベストな状態とは言えません。もちろん、途中交代でも、出てくれば何度か決定的チャンスを作られると思いますが(笑)

*********************************

 オーストラリアは3-6-1で来るでしょう。
 MF「6」の構成は、2ボランチに両サイドハーフ、トップ下2人。対ウルグアイ戦第2戦の前半途中から変更したような4-5-1もあり得ます。DFを減らして、トップ下を3人にするやり方です。
 ただ、スタートは3-6-1が有力です。日本が2トップで来ることは分かっていますし、マーキングがずれやすい4バック(2センター)は穴になる可能性が高いからです。ギャンブルは避け、2トップにマークを置き、1人余らせる無難な形を取ってくるでしょう。だから先発については3バックで。

 ヒディング監督はスコットランド戦を見ているでしょうから、当然日本代表が4バックで来るだろうと考えているはずです。もし3バックでも大丈夫、ヴィドゥカ1人で前線の勝負を優位に進められると思っているはず。それに、アロイージを入れた2トップは、終盤の切り札で持っておきたい。だから、1トップは確実です。

*********************************

 さて、対オーストラリア戦の先発予想です。
 ボクは先日のスコットランド戦を仮想オーストラリアと見ているのですが、特徴が違うのは中盤にブレシアーノやケイヒルのような選手がいなかったこと。だから、30日の対ドイツ戦は仮想オーストラリアの最終確認になるでしょう。
 ドイツにはバラックという前線に顔を出す中盤がいますから、いい練習相手になるはずです。そこでおそらくやられて、「中盤の守備をどうする?」という問題に直面する気がしています。

 ここでクローズアップしたいのが、稲本の存在です。
 前回大会の前年、稲本はアーセナルに移籍して全く出場できず出場を危ぶまれていましたが、結局彼のゴールが日本にワールドカップ初勝ち点、初勝利の原動力になりました。その後フルハムに移籍し、紆余曲折ありましたが、今でもイングランドでサッカー人生を送っています。
 特に、ケイヒルやブレシアーノのような中盤が多いプレミアリーグを経験し、中盤の厳しさを身をもって知っている稲本の存在は、今大会で生かされるはずです。
 それに、この大会が自分のサッカー人生の分岐点と考えているはず。絶対にやってくれるはずです。

先発予想はこちら。
GK川口
DF加地、宮本、中澤、三都主
MF福西、中田、稲本、中村(福西が下がり目。その前に中田、稲本。トップ下に中村)
FW高原、柳沢

 ジョーカーは玉田。彼のスピード、左足のテクニックは、オーストラリア守備陣をドリブルで崩せる可能性を秘めています。ボクはそう見ています。
 あとは、柳沢の運動量が落ちてきた時の巻。どうしても点が必要な時の大黒。つまり、FW交代のタイミングが日本の勝負どころだと見ています。
 もし終盤に中盤の攻撃力を上げたいなら、ゴールも積極的に狙う小笠原辺りでしょうか。ワールドカップ最終予選、アウェイでの対バーレーン戦でのゴールは、まさに小笠原の真骨頂でした。正直、国際舞台では未知数の部分はありますが、稲本に変えるなら、という意味で。

 心配しているのは、オーストラリアが2トップにしてきた時の対応です。3バックにした方が妥当でしょうから、田中を入れてマークを徹底するか、福西を下げて3バックにして中田と稲本を中盤下がり目に置くか。この辺りは頭を悩ませるところです。

*********************************

 ここからは朗報です(笑)。 実は、FWヴィドゥカ、GKシュワルツァー、そしてケイヒルについては、ベストな状態ではありません。

 ヴィドゥカとシュワルツァーの2人はプレミアリーグのミドルスブラのチームメイトでもありますが、先日進出したUEFAカップファイナルで0-4という大敗を喫し、準優勝に終わりました。
 結果は結果なので調子とは関係ありませんが、この試合ではヴィドゥカからキレを感じませんでした。セルティック、リーズの全盛期を考えれば、パフォーマンスは確実に落ちています。
 シュワルツァーにしても、プレミアリーグの試合でほお骨を骨折し、現在はフェイスマスクを着用してのプレー。日本との試合までには治ると思いますが、果たして恐怖心は…柳沢や高原は、人の良さそうな顔をして、結構えげつないプレーしますから、ぜひ本領を発揮していただきたい(笑)

 そして、ケイヒル。4月下旬の試合で膝の靭帯を部分断裂し、全治6週間の大ケガとなりました。こちらも治してくると思います。というか、多少問題があっても、後半の勝負どころで使ってくるでしょう。なぜなら、日本戦はオーストラリアにとっても、絶対に勝ち点を取らなければならない試合ですから。

 おそらく、当たらずとも遠からず、だと思います。
 でも、予想は予想。当たらないから面白いのがサッカーの勝敗予想ですから(^_^)