2006/5/23
軸はコートジボワールで!
〜2006 FIFAワールドカップドイツ・グループCを予想してみる〜

 「死のグループ」となったグループC。アルゼンチン、コートジボワール、セルビア・モンテネグロ、オランダと、どのチームが決勝トーナメントに進出してもおかしくありません。
 で、見どころですが、身体能力の高い選手が揃ったコートジボワールをどう料理するか。これに尽きます。

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 今回アフリカのチームで旋風を巻き起こすとすれば、コートジボワールにおいて他にはありません。
 そう断言する理由があります。ワールドカップでアフリカの代表チームが活躍する必要条件を満たしているからです。

 まず、ヨーロッパで活躍している選手が多数いること。コートジボワール代表の選手は、全員がヨーロッパのクラブチームに所属しています。つまり、ヨーロッパでプレーすることは当たり前なのです。

 次に、ほとんどの選手が中堅クラスのクラブチームに所属していること。ドログバ(チェルシー)やトゥレ、エブエ(アーセナル)は別として、ほとんどがイタリアやスペインといったメインストリームから外れた国のリーグでプレーしています。
 前に上げた3人だって、まだまだ野心に満ち溢れている印象は強いです。アーセナルの2人については、ケガ人のバックアップで出場しているうちにレギュラーを獲得したというパターン。まだまだこれからだと、自分たちも思っているはず。
 ポイントは「満たされていない」ということです。このワールドカップでビッグクラブへの移籍を目論んでいるはずで、絶対に手は抜かないでしょう。

 3つ目は、ボールを奪ってから速攻を仕掛ける、カウンター主体のサッカーであること。トップにドログバ(チェルシー)という大黒柱がいるだけでなく、コネというスピードが尋常でない選手がいます。アルゼンチン、オランダのようなポゼッション主体のチームには効果的だと思います。
 特に初戦のアルゼンチンは勝ち点3を取りに来るはずで、ボールポゼッションは高くなるはず。だからこそ、前回大会の<フランス×セネガル>のような、カウンターからのゴールで大金星は現実的にあり得る、と。

 最後は、「国のために」という意識が異常なまでに強いこと。1〜2月に行われたアフリカ・ネーションズ・カップでは決勝まで進出して最後まで開催国エジプトを苦しめましたコートジボワール。代表選手のほとんどが、所属クラブの大事な時期にも関わらず約1ヶ月間チームを離れました。実際、チームを離れたドログバは、その前後ベンチスタートが増えました。
 そういう状況になる可能性は感じていたはずですが、ドログバにとって国の代表に選ばれるというモチベーションは何事にも変えがたいもの。それは他の選手も同じだったと思います。特にワールドカップ初出場を決めていただけに、その気持ちは余計だったと。
 ワールドカップ出場組でしっかりと勝ち進んだのはコートジボワールだけでしたし、そういう意味でもこのチームは違います。

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 他のチームについては、正直分かりません。というのは、予選時とおそらくメンバーが違うので。特にアルゼンチン、オランダは未知数です。

 前回のアルゼンチンは、優勝候補と言われながらグループリーグで敗退。その大きな原因はバティストゥータの代表招集だったと思います。今回のアルゼンチンは、協会主導で代表選手を選んでいるようで、ペケルマン監督が選んでいないという部分も不安要素です。ボクは今回もアルゼンチンはドツボにハマる気がしています。
 オランダは国外でプレーするビッグネームを柱に、多くの国内組でチームを構成しています。アヤックスとAZが中心というのがミソなんですが、エールディビジ(オランダの国内リーグの名称)の実力自体、国際舞台では未知数。もちろん勝算あっての代表選手の選出ですが、かなり不安です。
 セルビア・モンテネグロにも強さを感じません。メンバーは予選と大差ありませんが、強いと言うより、予選同組のスペインやベルギーがもたついてくれたから棚ぼた的に、という言い方もできなくないですから。
 ケジュマンやスタンコビッチという有名選手はいますが、ワールドカップの舞台で輝けるだけの要素があるのかと言われれば…正直難しいかなと思います。

 名前だけ見ると強そうですが、チームに不安要素が多いというのも、グループCの特徴です。

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 さて、予想ということになりますが。
 どうしようかなぁ。正直迷ってます。アフリカ勢は当たり外れが激しいので(笑)
 ただ、1位コートジボワール、2位アルゼンチンにしておきます。理由は、1人でフィニッシュまで持ち込めるFWがいるから。そして、初戦でコートジボワールが勝つと予想したからです。

 コートジボワールはドログバに頼ることになりますが、グループリーグは彼が目立てばいいかなと。チェルシーがプレミア制覇のみに終わりモチベーションが高く、終盤戦に日程のゆとりがあったことからコンディションはバッチリのはず。
 アルゼンチンは、単純にクレスポ、テベス、アイマール、サビオラなど、自分でゴールを奪える選手が多いから。理由が単純(笑)
 オランダはファン・ニステルローイ次第です。チャンスは多く作りそうな気はしますが、結局決めるのはFWということになります。所属していたマンチェスター・ユナイテッドでは、ファーガソン監督とソリが合わなくなってきて、終盤はベンチスタートが多くなりました。果たして、ゲーム勘は戻っているんでしょうか?
 幸か不幸か、初戦はセルビア・モンテネグロ対戦なので、ここでゴールできれば乗りそうな気はしますが、若い選手が多いだけにパフォーマンスの波がある気がします。
 セルビア・モンテネグロは…ケジュマン次第かなぁ。でも、いまいち爆発力はない気がします。ケジュマンはゴール前の嗅覚は優れていますが、お膳立てしてくれる選手がいて初めて生きるタイプのFW。セルビア・モンテネグロのMFに、このグループを勝ち抜けるほどの力があるかと言えば…はい、消えた。

 ただ、予想に一つだけ不安要素が。ドログバって意外と弱いんですよね、メンタル面が…
 3年前のUEFAカップ決勝のこと。マルセイユのエースだったドログバは、対戦相手のバレンシアDFアジャラにファーストコンタクトでいきなりガチンと反則されて(頭突きだったかな…)まったく仕事ができず完敗してしまいました。ちなみにアジャラはアルゼンチン代表。さてどうなるか…このマッチアップが実現したら、ファーストコンタクトに注目です!

 結局、FWの出来不出来が勝負を決めるという、至極まっとうな予想に帰結したグループCでした(笑)