2006/6/28
「10+1」。フランスの決意
〜フランス、スペインを3-1で退ける〜

 見事に外れました! ごめんなさい。m(_ _)m (笑)
 蒸し暑さでまいっていたグループリーグは何だったんでしょうね?(^_^;)

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 ジダンの調子は良かったです。意気込みも違いました。負けたら最後ですし。
 コンディションも申し分ありませんでした。この日はナイトゲームで20度以下、湿度も60%台。グループリーグ時のような蒸し暑さはなかったし。
 でも、最後の力をふり絞っている印象は拭えませんでした。もちろん、大会に入ってから見られなかった気の利いたパスも多かったし。ただ、以前のような軸足の強さがなくなりやや踏ん張りがきいていない感じがしましたし、実際すごい場所にパスを出しても、若干弱かったり、微妙にずれていました。まあ、絶好調の時のジダンと比較して、ということなので、無理もありません(笑)

 しかし、そんなこと、どうでも良かったんですよ。
 ジダンがベストでないことはチームメイトがよく知っています。
 そんなジダンを好きなようにプレーさせようとして、グループリーグのスイス戦と韓国戦は見事に失敗しました。
 それが、幸か不幸か、第3戦のガーナ戦でジダンが出場停止になったことで、チームが危機感を持ったと思います。おそらく。

 0-0で折り返したガーナ戦後半。
 「ジダンのために、絶対に勝たなくてはならない」。ピッチに立った全員が、いやベンチにいる全ての選手がそう思っていたに違いありません。
 その中心にいたのがビエイラです。1、2戦はサポート役に徹しようとしていましたが、3戦目の対ガーナ戦の後半。今までに見たことのないアグレッシブな攻撃参加で1ゴール1アシスト。正直予想していませんでした。
 それでも、スペイン戦でジダンが出てきたら、またグループリーグの焼き直しだと思っていました。ジダン中心に攻撃を組み立てるやり方で来ると。

 でも、違いました。強固な守備力とスピードとテクニックのある攻撃陣の特徴を行かすために、フランスはよりによって自陣まで引いて、カウンターを仕掛けたのです。
 10+1。10人でアグレッシブに守り、ボールを奪えばゴールを目指す。そこにジダンが色をつけていく。そんな感じ。

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 ホントすごい決意を感じます。
 だいたい、アンリのカウンターもしくはマルーダやリベリー、ビエイラの2列目からの飛び出しのために、自陣に引いてスペインの攻撃を受けようとするやり方をフランス人が好むわけがない!(笑) こんなフランス、見たことありますか? こんなに勝負にこだわるフランスを、ボクは見たことがありません。

 だからと言って、消極的だったり、つまらないサッカーをしているわけではありません。
 おそらくですよ、おそらく。フランスは本気で優勝を狙っています。ジダン最後の舞台。それがワールドカップ決勝であるために。

 スペインとの勝負を分けたのは、戦術や技術の上にあるもの。選手たちの「思い」だったと思います。
 善かれと思って、11人で戦おうとしたグループリーグ。あえてジダンを自由にして10人で戦い、最後はジダンが勝負を決めたスペイン戦。ジダンに導いてもらうのではなく、自分たちで何とかする。その強い意志があってはじめて、ジダンは息を吹き返す。
 「全てはジダンのために」

 ジダンへの尊敬の念がチームを一つにし、勝負へのこだわりを一層強くさせたのは間違いありません。一つの時代の終わりは間近に迫っていますが、それが最高の形であるために、フランスは次のブラジル戦もアグレッシブに戦うでしょう。それが自陣内だとしても。

 でも、ベテランの多いフランスの主力メンバーの体力は、果たして持つのでしょうか?
 あと3試合。ジダンの運動量をカバーするために他の10人が動き回るには、あまりにも厳しい戦いが続きます。